生活動線・光・風を意識する


通り道をたいせつにする

私たちがマンションリノベーションのプランニングにおいて最も重要視していることは動線といってもいいかもしれません。動線とはすなわち人や物が動く『みち』であり、風や光が通ることもあります。そういった全ての通り道を動線と私たちは呼んでいます。

こう書くと、ただでさえ限られた面積なのに、入口や扉を増やすのは無駄だ、と思われる方も多いのですが、小さな家こそ動線、特に廻れる動線が重要だと考えています。廻れる動線を確保することは行き止まりを作らないことであり、小さな空間に奥行きをもたらせてくれるからです。

南北に生活動線と家事動線を2本とる

作例

大阪堺Y邸。Yさんの奥さんの要望は「なるべくエアコンを使わず風が通るキッチン」でした。風を通すためには住戸の南北の窓を繋げる経路が必要です。排水経路を考えるとキッチンの大幅移動は難しかったため、南北の動線を2本取ることを考えました。

キッチンを廊下側に移動、トイレの向きを変更してユーティリティを設け、来客はじめ、一般の動線は右側の廊下とし、左側に家事用の動線をもう一本追加しました。

ユーティリティには洗濯機、スロップシンク、冷蔵庫を置いてあるので、家事動線の途中で全ての作業ができます。ホビースペース北側の窓とダイニング南側の窓を開け、引戸を全て開放するとキッチンを通る風の通り道ができました。

ウッドデッキを設けることでより広がりある空間に。

DSC_2410_81008222-1b97-4b20-bf4f-4297782d9461『マンションでウッドデッキ』と聞いてもピンと来ないかもしれません。ウッドデッキといえば、戸建て住宅の庭に設置されているイメージが強いのですが、マンションでもウッドデッキを実現することができるのです。むしろ、戸建てよりもバルコニーの奥行きなどは広いケースが多く、快適な空間を確保しやすかったりします。
設計時のポイントとして、室内の床とウッドデッキの高さを揃えるようにします。そうすることで、室内とソトとがゆるやかなにつながり、視覚的な広がりやゆたかさをよりいっそう引き立てることとなるのです。

マンションという限られた面積の部屋の中でどれだけ体感的な広がりをもたせることができるかが、マンションリノベーションの設計の大きな課題といえるでしょう。